有限会社オバラ建商【北海道帯広市・自然と健康と環境にこだわった建築資材販売会社】
アスベスト問題考1
 本年6月末より、一斉に新聞報道にて石綿(アスベスト)問題が報道され、全国的な社会問題として取りあげられ、連日死者数が発表されている。が、ここで気になるのは、いずれも工場生産現場での曝露による事例が多数であり、また、その職種も今の所機械類製造業種に限られている。建設関連に従事し入る者として、ここで多いに疑問を感じた次第である。即ち、現実に廻りをみわたすとサイディングばかりではないか、これって石綿使われてなかったかったけ・・・。昭和50年代中期以降急速にモルタルに変わりサイディングが現在進行形で普及している現実は一体なんなんだ。そして、急成長産業の過程でメーカーとして倒産していったところでは、石綿を生産、販売をしていなかったのか。そんな疑問からの思い である。
 連日のマスコミの報道は、6月30日付け北海道新聞一面トップ「クボタ石綿被害で79人死亡」からはじまった。 農業関係者だと、思い浮かぶのは農機類だろうが、建設関連者は建材とりわけ、サイディングであり、コロニアルだろう。また、その後の報道で「ノザワ」がでてきて、建設関連でも岩綿吹き付け以外の領域も、グレーイゾーンと感じ出したのではないか。しかし、現実の報道では、戸建住宅の具体例は報道されてはいない。サイディングの普及から少なく見積もっても25年は経過しており、その消費量たるや物凄い数値ではないだろうか。そして、当然役所物件にいたっては、図書指定になっており、当然現場サイドでは使用している。その辺の責任所在は何処にあるのだろうか。

 ホームページ上で、身近なメーカーの「見解書」なるものを、何点かみつけた。クボタと松下電工は、外装材メーカー再編過程で、平成15年12月に合併し、新会社「クボタ松下電工外装KMEW」となったが、それ以前は、競合相手として市場では火花をちらした関係である。「見解書」の中の表より、抜粋します。両社とも、商品名を明記してくれていますので、非常にわかり易いしそれだけ、市場に出回っている事の証でもあります。石綿を含有している屋根材・外装材とわけています。 まずクボタから( )内は製造期間
「カラーベスト(900)」
コロニアル (S36〜S61)
ニューコロニアル (S54〜H13)
「カラーベスト(600)」
アーバニー (S57〜H6)
ジュネス1と2 (H3〜H6)
外壁材
カラーベストシングル (S35〜S53)
不燃サイディング (S42〜S52)
パーマトン (S46〜H5)
ロイヤルサイディング (S42〜S51)
エンボスサイディング (S51〜H5)
防火サイディング軒天用途含む (S52〜H7)
カラーベストニューシングル (S53〜H1)
セラシティー (S60〜H4)
セラディール (S62〜H4)
  表の一部抜粋であるが、業界の方には馴染みのある商品ばかりかと思います。どの職種の方がどんな状態で施工したのか記憶を思い起こして下さい。
 7月8日付け新聞見出し
  クボタ元社員 アスベスト死 妻も 作業着洗濯で吸い込む?
  横須賀でも妻ら4人 「洗濯でほこり吸う」
 次に松下電工の表です。
「フルベスト(900)」
フルベスト16 (S46〜S53)
フルベスト20 (S63〜H15)
フルベスト・リード (H6〜H12)
フルベスト・リードDX (H8〜H12)
「フルベスト(600)」
フルベスト24-10 (S53〜S62)
ニューフルベスト24 (S62〜H11)
外装材
ネオロック25と21mm (S63〜H4)
DMサイディング (  〜H8)
マルチサイディング横張り「RV***」 (S61〜H12)
マルチサイディング縦張り「RV***」 (S61〜H12)
 以上が電工の抜粋となります。如何なものですか。
製造年でわかるように、いかに昭和50年代から平成の一桁年まで生産されていたか一目瞭然です。
地域により異なるでしょうが、クボタと電工の市場占有率を考えると看過できない問題です。
外装材を扱っているメーカーが業界再編と称し、急激に平成16年以降進行したわけが、(当然水面下ではそれ以前から進行)推測できる。まさに今回のこの事態を予測したかのような再編劇である。
さらに、他メーカーはどうか
 大建工業では7月12日付けで
ロックウール系天井材
ダイロートン (S46〜S53)
オトテン (S63〜H15)
ロックウール系壁材
カベロック、断熱壁モード防火、ダイロック (S46〜S53)
オトカベ (S63〜H15)
 以上の製品を、使用生産品とし、下記を含有商品を仕入れ加工したものとして分けている。
内装材 カベタイル (S59〜H9)
システムバス用壁材 (S59〜H9)
 大建の外装材は、ニチハのHP上によると、昭和56年5月以降完全無石綿化を実現とある。
当のニチハは、7月21日付けで、旧日本ハードボード工業時代の「ゴールデンモエンサイディング」(S49・11〜S56・4)は使用とある。

以上が、現段階で手元にある資料をもとに書いたものであるが、そのほかに、スレート系建材をあつかった記憶がある以上、まだまだ記憶をたどり調査しなければと思う。
新聞報道によるメーカー名は、「ニチアス」「エーアンドエーマテリアル(かべ一番)」以外馴染みがない?

 現在、新築市場が冷え込み、政策的にはリフォーム市場へとシフトを移す傾向にあるが、その対象物件が間違いなく50年代物件である以上、今回の問題は明らかに今後への警告に他ならない。
すでにご存知のように、7月21日付け新聞には、「アスベスト禍 国76年には危険認識 旧労働省通達「家族にも被害」の見出しがでており、また医師の対応に関しても、認識不足が原因なる記事も出ている。{中皮腫の潜伏期間は30年から40年と長く、有効な治療法がなく、今後40年間に死者は10万に達する、と予測する研究者もいる。(読売新聞 社説)}

 現在建設関連業界には、悪質リフォーム問題をはじめ、あきらかに逆風が吹いている、一部のこころなき業者による、市場席捲である。あきらかに、異業種からの参入者であり、「住まいの心・文化」を持ちあわせてはいない、ただ儲かる市場・ターゲットとしているのである。今回の問題は過去からの警告と受け止めるか、一過性問題とかたずけるかは企業(者)のモラルの問題である。製造責任・販売責任・当然、使用責任と、常に選択の自由には責任も伴う事を忘れてはならない。まして、それが、反社会的行為につながることは厳に慎むべき事である。
21世紀を前後をして、20世紀の残渣はいまだ払拭されず、ますますその残渣の影響度合いは加速度的に、グローバルにひろがっている。価値観の多様性は自由とはいえず、ある分無秩序状態を指すのではないだろうか・・・。ここで、思い出したのが、ペンローズの三角形だ。(興味のある方はどうぞ)
 非常に参考になるホームページ見つけました。
  「アスベストについて考えるホームページ」http://park3.wakwak.com/~hepafil/
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